by Geroge W. M. Reynolds (1846-48)
ロンドンの秘密
全4巻 + 別冊解説:田中 孝信(大阪市立大学教授)
ISBN 4-902708-16-7 ・ 菊判 ・ c. 1700 pp., ill.
定価 本体84,000円+税▶ 2005年 品切れ
ヴィクトリア朝社会の貧民街の悲惨さや犯罪的生活を描いたベストセラー。廉価な週間分冊としたことで都市下層階級という新たな読者を獲得、ふんだんに盛り込まれた扇情的な要素もあって爆発的な人気を得ました。 19世紀小説研究としてだけでなく、イギリスの都市・文化研究にとっても貴重な資料。
本書の内容
G.W.M.レノルズの The Mysteries of London は、1844年から George Vickers によって、毎週8ページ、1ペニーの値段で刊行されたシリーズ物である。 フランスの作家ウージェーヌ・シューが書いた Les Mystères de Paris (1842-43) の影響を受けて貧民街の悲惨さや犯罪的生活を描いたもので、堕落した金持ちと苦しむ貧乏人とに引き裂かれた社会的断層を 劇的な挿絵とともに鋭く描き出して新しい「アーバン・ゴシック」小説の形を示し、急速に拡大しつつあったヴィクトリア朝の都市に住む読者に大いに受け入れられた。読者は労働者階級だけでなく、公にはこの小説を軽蔑していた 中産階級や上流階級の人々にも密かに買い求められ、10年間で100万部を超えるほどの大ベストセラーとなった。